ハードな新人研修から学ぶ 拘束を解き、孤独をケアする力

 6月7日、新入社員6名がくまちゃんハウスで「JIJIJBABA体験」研修を受けました。高齢者体験は、手足に重りをつけたり、アイマスクをつけるなど数多くありますが、こちらリハビリデザイン研究所が行う研修は、通常のレベルを超えたハードなもの。

 

 開始早々、ほとんど何の説明もなく、それぞれオムツを装着。排泄はそちら限定。それから片マヒ設定でグルグル包帯で腕や足を縛り、目隠しをして片目で前がぼんやりできる状態に、そのうえ耳栓もします。「寝たきり」「座らせきり」「車いす」の設定で、その後数時間、基本ほったらかし…。オルゴールで『うさぎお~いし~かのやま~』と延々と繰り返し流されるなか、たまに来ても「ちょっと待っててね~」「大丈夫ね~」などとおざなりな声掛けばかり。周りの状況がよくわからない、身体が動かせない、そして孤独に放置される苦痛。そろそろ昼どきかと思ったら、「お昼どうする~」とスタッフ役の間だけで相談する話し声、どうやら出前を取って、届いたら自分たちだけで食べています。ううう…

 

 午後やっと始まった昼食は、もちろん介助で。エンシュアを飲まされたり、おかゆやペースト食を混ぜてパッパと口に運ばれたり。前歯でスプーンの残りを落とされたり、もう泣きそう…。希望で鼻からチューブを入れるのも試してみました。やっと体験が終わり拘束が解かれたら身体のあちこちが痛い。

 

 振り返りの時間では、辛かったことやイヤだったことを出し合い、事前に説明を受けて内容をわかりたかった、こちらの意思を聞いて欲しかった、体勢を変えて欲しかった、食事を自分のペースで取りたかった、ふるさと以外の曲も聞きたかったなどなど、多くの切実な意見が出ました。また、障がいをもって生きていくための条件も当事者目線で話し、自分のやりたいことを自分で決められること、希望があって伝えられ、叶えられる環境があること、依存先を増やしてダメな支援者がいても選べることなどが挙がりました。

 

 

 実際にまだ病院や施設のなかには、残念ながら似たような状況に置かれている人もたくさんいます。ヘルパーや介護職の関わり方は本当に大事であることを、身をもって実感した研修でした。せめて自分が介助する人には同じ思いをして欲しくないです!