ケアマネに語る!ヘルパーの専門性の活かし方

 3月18日、藤原るかヘルパーが「『訪問介護の専門性』を理解してケアプランに生かそう」というテーマでオンライン研修を行いました。主催は「あだちケアマネ研究会」で、新人のケアマネジャーを中心に52名が参加しました。

 

 ヘルパーの専門性は、人材不足の現状では特に身体介護で発揮することが期待されています。暮らしにトータルに関わる生活援助の役割はもっと大事かもしれません。藤原からは、例えば86歳のうつ症状のおばあさんの家で、台所にあるしなびたほうれん草を見つけて、ごま和えに至る会話を交わし、その過程で子どもとの楽しい記憶を引き出し生気が戻った…など、一見ささやかながら、ADLの自立支援に留まらないケアの内実を話しました。ちょっとしたコミュニケーションや、日用品を素材に五感を通じた無意識への働きかけなど、介護保険のプランでは見過ごされがちな、生きることそのものへのヘルプができることは、訪問介護の大きな特徴です。

 

 そのほか「老計10号」の見直しについても説明しました。老計10号とは厚労省の老人福祉計画課から出された通知で、ヘルパーの行う排泄・食事介助、掃除、調理などサービス行為を具体的な区分で示しているもの。自立支援のため共に行う家事は、「見守り的援助」として身体介護の1つに位置づけられますが、これまで曖昧だったため、改めて明確化されました。手助けや声かけ、見守りしながら行う調理や後片付け、認知症の方と一緒に冷蔵庫の整理をすることなどは身体介護の区分になります。また「ADLの向上、自立支援」に加えて、新たに「IADL、QOLの向上、重度化防止」が見守り的援助の趣旨に加わりました。QOL(クオリティオブライフ:生活の質)に役立つとケアプランに謳えれば、利用者とヘルパーが共に行う日常生活の行為は身体介護になります。

 

 この見直しはヘルパーの生活支援をQOLの向上につなげる契機になるものですが、生活援助が身体介護に変わることで、自己負担が増えたり、限度額をオーバーするのを避けるため、ケアマネジャーからの理解がなかなか進んでいません。

 

今回のセミナー、新人ケアマネさんからは知らなかったとの声が聞かれました。家の生活のなかでトータルに関わり、暮らしの豊かさに直結する訪問介護。ヘルパーの専門性については実践と発信をさらに重ねていく必要をあらためて感じました。