老いに備える~片づけヘルパーの考え方~

 2月25日、井の頭地域包括支援センターの主催で『老いへの備え講座』が開かれ、片づけ事業部の永井美穂が、講師を務めました。今回は井の頭コミュニティセンター会場とオンライン配信での開催となり、合わせて20名以上の方が参加しました。

 まず、清水利昭様(三鷹市社会福祉事業団高齢者福祉部長)から挨拶。「歳を重ねると気持ちがふさぎがちですが、工夫をすれば快適で豊かな生活にすることができます。お酒と同じように、時間が経過することで、より豊かな生活となればと願っております」とのお言葉がありました。

 続いて永井は、介護福祉士としての20年と整理収納アドバイザーとしての経歴から話を始め、独自の片づけ理論をお伝えしました。「片づけヘルパー」が大事にするのは「死ぬ準備ではなくて、余生を快適にする工夫」。キレイ第一の価値観を押し付けずに、本人第一の暮らしやすさを優先します。片づけの目的は見た目よりも使いやすさ。転倒事故や筋力の低下を防ぎ、家族が寄りつかない、掃除がしにくいなどの問題を解決していきます。合理的な片づけを実践するのではなく、利用者様、ご家族の話に耳を傾けることから始めます。「あれは昔あの人にもらったの」など話を聴いて、思い出ごとに品物を振り分けていけば、自然ときれいになっていくとのこと。

 今回の講演で、永井は「捨てる」の言い換えをすることを強調しました。ある利用者の台所の整理をしていたら、床下収納から長年漬け込んだ梅酒が見つかった。するとそのご子息が、喜んでそれを持ち帰ったそう。永井はこれを「宝さがし」と言い換えます。ほかにも、「ちょうだい」と言うことで、捨てられなかった利用者様が喜んでそれを手放したというエピソードなどをお話ししました。
 質疑応答では「物は多すぎるが、もったいないのでただただ捨てられない」という相談に対して、地域包括の方から「不要な物を持ち寄る交換会などもできれば」との意見も。「捨てる」の言い換えが、もしかすると、地域のなかでも可能なのかもしれません。

 講義のあとに、さっそく自宅を片づけたいというご相談がグレースケアにあり、永井がコンサルティングで伺っています。老いへの備えに片づけ事業部をぜひご活用ください。

 ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。