会えない病院から、触れられる在宅へ ~コロナ禍で増える看取り~

 グレースケアではご自宅で長時間、自費の付添いを使ってお見送りする方がたびたびおられました。ご家族から思い出話を伺いながら昼夜そばに付いたり、高齢のお連れ合いに代わってがんの方のケアをしたり、排泄介助や家事周りを担って親しい人がゆっくりお別れできるようにしたり…。

 ここ数ヶ月はコロナ禍の影響で、介護保険も使っての看取りが増えています。病院や施設では面会がままならず、話したり触れたりできない、表情や息遣いもわからない。その無念さが様々なリスクは承知の上で、ご自宅に戻って親しい人と過ごすという選択につながっています。

 

 グルメなA様は絶対禁食の病院からケンカするようにして退院し、鰻など好きなものを少しずつ摂ってちょうど1週間で旅立たれました。奥様や娘さんにあれこれ言われては応酬する素敵な関係でした。

 元々在宅を希望していたS様は急変で即日訪問が始まり、1回は入院するもすぐに戻り家で見送りました。自費で環境を整えつつ、介護ベッドもシャワーチェアも間に合わなかったですが、最後の入浴をすることができました。

 I様は鼻からの栄養チューブを外して退院。点滴も徐々に量を減らし、ヘルパーは排泄ケアや清拭、着替えなど朝夕入りながらご家族をサポートしました。

 T様も病院で熱発の合間に何とか退院。痰の吸引が必要なため1日3回訪問。ベッド上でウイスキーをなめたり、ペットのワンちゃんになめられたりしながら10日ほどで全うされました。いずれもご家族やご友人の思いがあり、訪問看護師さんや訪問診療医など関わる人と連携しながらのケアになりました。ヘルパーもとても学ぶことが多く、ありがたく思っています。

 

 今この時もご自宅で大切なときを過ごされている方々がいます。急変したり持ち直したり、ジェットコースターのよう…と表現されたご家族もいました。多くは急ぎで始まり、限られた期間で終わるため、事業所にとってはそのつどの体制づくりは正直なかなか見合わないのが実情ですが(来春の介護報酬の見直しでは、訪問介護に「看取り加算」が検討されています)、在宅でのその人らしい暮らしを掲げるヘルパーとして、ご本人や関わる方々が少しでも納得して、思い残すことのない生をいききれるよう支えていきたいです。