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おでかけ事業部

こんにちは、カトーズです。~バリアフリーを求めて vol.1

 

グレースケアでは、支援のカタチにとらわれず、お互いの「楽しい」や「やりたい」を一緒に形にしていくことを大切にしています。
以前「真夏のちいさな『スナック」リハビリ』を企画し、自らワクワクを発信してくださった加藤さんご夫妻(夫婦ユニット「カトーズ」)も、そんな私たちの大切なパートナーです。今回はお二人が実際に体験した、石和温泉の「ユニバーサルツーリズム」のリアルをお届けします。

こんにちは、カトーズです。初めまして

カトーズは、先天性弱視で白杖を持つ視覚障害の“ちゃ”と、脳出血で肢体障害になった車いすの“ほこ”、重度身体障害者2人の夫婦ユニットです。
結婚して7年。普段はお互いに助け合いながら暮らしていますが、生活で2人とも難しい部分をグレースケアが支えています。

旅好きなふたり

ふたりは、いいと思えばどこへでも出かけたいタイプ。北海道、東北、東海、関西、九州…そして様々な離島まで、いろんな場所にチャレンジしていました。ただ、3年前に“ほこ”が2回目の脳出血を患って障害が重くなって以来、旅に出るのはなかなか難しいことに。そんな時、グレースケアお出かけ事業部のヘルパーから、耳寄りな情報が入りました。「山梨の石和温泉が、バリアフリーなんですってよ!」
今なおリハビリに明け暮れる“ほこ”に、「温泉」は、魔法の言葉。わぁ!温泉?!キャー!湯治!?
新春早々、ふたりは早速行ってみることにしました。

全人口の4割が対象の「ユニバーサルツーリズム」

石和温泉は、フルーツ王国・山梨にあって、三鷹から特急で2時間弱のアクセスの良さと圧倒的な湯量で古くから賑わう、「癒しと食の温泉地」。さらに今、高齢者・障害者にも訪れやすい場所にしようと、石和温泉旅館協同組合、地元・山梨県笛吹市と甲州リハビリテーション病院が中心となってユニバーサルツーリズムを推進しています。

この「旅のバリアフリー化」、対象は今や全人口4割。石和温泉はそこでの利用拡大を目指し、昨年から新しいサービス「入浴サービス」(ヘルパーやリハビリ職が入浴介助を行う)も始めました。

いざ、「バリアフリー温泉」!

さて、今回カトーズが泊まることにしたのは、「甲州牛と美肌湯」が名物の「石和 常盤ホテル」。館内2つある源泉かけ流し貸切風呂はバリアフリー対応で、一昨年オープン。プライベートな空間で石和の名湯が楽しめます。ついでに言うと、大浴場は宝石風呂。露天風呂はヒノキ風呂。客室のお風呂はすべて温泉が引いてあるそうです。
客室は和洋と選べ、和室もベッドがある部屋があります。カトーズは洋室を選択。ホテルにバリアフリールームはないものの、洋室は車いすでも十分な広さです。
しかし、トイレと客室内風呂には20cmくらいの段差があり、“ほこ“はちょっと苦戦。
そのため、トイレは館内3階にある多機能トイレを利用することにし、お風呂は貸し切り風呂。これで、バリアフリーに温泉を楽しみまーす!

バリアフリーは「こころのバリアフリー」も

夕食は甲州牛のコース料理。“ほこ”は右手が全く使えないため、事前にいろいろな配慮をリクエストしました。スプーンとフォークの用意、自由によそえるご飯とみそ汁はスタッフさんに配膳してもらうこと、などなど…。連休中の混雑の中でちょっと申し訳ない気がしましたが、到着時からふたりを気にかけてくれていたホテルのスタッフさんたちは、食事でもしっかりサポートしてくれました(コースは甲州牛があれこれ楽しめて美味しかったー!)。また、貸切風呂も40分の時間制限がありましたが、動きの不自由さや車いすでの着替え等で時間が掛かるかも、と相談したら、フロントで調整してくださり、夕食後の順番待ちのいない時間に利用できることになりました。
バリアフリーは、施設や設備も必要ですが、結局のところそれを運営する「ひと」の気持ちが一番重要だったりします。そういう点では、今回いちばんバリアフリーだったのは、ホテルのスタッフさんたちだったかもしれません。

いよいよバリアフリー貸切風呂へ

夕食ですっかりくつろぎ、ホテルのハウスワインも多少嗜んで、部屋に戻るとふっと意識が飛びそうにな…っちゃダメダメ!いよいよ今回の旅のメインイベント、貸切風呂&温泉です。

しんしんと寒い夜、寝る前に体の芯から温まり、ポカポカに眠りたい…!期待と欲望がいそいそとふたりをお風呂に向かわせます。フロントで鍵を借りて、3階にある貸切風呂へ。扉を開けると…おぉ!広いじゃん!そしてスロープ板が!
「浴室は車椅子で入ってもらって大丈夫です」、とフロントの方が言ってくれていましたが…こういうことだったんですね~!?中にはシャワーチェアも用意されています。
車いすのまま使えるトイレも併設。脱衣所でどっしり座れる椅子は高齢者や妊婦さん向けかもです。

珍しさに脱衣所をいろいろチェック。あ!ヤバい!制限時間、40分でした…!ちょっと急がないと!やっと浴室へ
浴室の床は滑りませんが、中に入ると手すりがないので、歩くことに困難だと手引きが必要です。温泉組合の入浴サービスはこういう時に打ってつけですね。
カトーズは「歩ける」“ちゃ”が“ほこ”の手を引き、“ほこ”の難しい「歩く」をサポート。「見える」“ほこ”は“ちゃ”に状況を伝えることで“ちゃ”の難しい「見る」をサポートします。立つ湯けむりで「見にくさ」が増しても、お互いに連携しながら浴室を進んでいきます。
シャワーチェアに座って身体と髪を洗いますが…高そうなシャンプーとリンスでリッチな気分。溢れる熱いお湯を水で埋めつつ、浴槽は浅い段差3段あり、浴槽台代わりに浅い段差を使ってみます。

いやあ、石和温泉は豊富な湯量、って聞くけど、マジでした…!お湯も柔らかで、身体の芯まで浸透してくれそう。
“ほこ”は普段自宅ではヘルパーとの介助浴。入浴は「管理されたサービス」なので、いつもお風呂は時間と手順で慌ただしいのですが、今日は湯船にゆっくりゆったり、温泉を楽しめます。喜ぶ“ほこ”に“ちゃ”もご満悦。最後はふたりで肩までしっかり浸かって、ニコニコと貸切風呂を後にしました。
部屋に戻って、夜食のお時間。夕食後にロビーで提供されていた「小豆ほうとう」と小ぶりのいなり寿司を、デザート代わりに。
あー満足満足! “ちゃ”はもうベッドでイビキを立てています。
今日はもうおしまい!

「朝ご飯は、牛丼になさいますか、白いご飯にされますか?」

「昨日あんなに食べたのに何で起きたらおなかが空いてるの?」と思う朝。朝食は適度な量で…と思っていたら、味噌汁代わりに「ほうとう」が付いてた!ご飯は、牛丼か、白飯を選べるとのこと。せっかくなので、甲州牛の牛丼にしてみました。

以前、イチローが推奨する「朝カレー」がありましたが、「朝牛丼」も、朝のパワーフードですね!甲州牛だからでしょうか、重くない程よさで、ほうとうも他のおかずも完食!

石和常盤ホテルは、11時チェックアウト。朝食後もゆっくり過ごせます。支度に時間が掛かる車椅子の“ほこ”も安心。お部屋に戻って、備え付けのコーヒーマシンでドリップコーヒーを1杯。“ちゃ”は腹ごなしにお部屋の温泉をゆっくり満喫しました。

窓から見える石和の空の清らかさが、“ほこ”には鮮やかに写ります。

石和の街を歩いてみれば

調べると、ホテルから石和温泉駅までは、笛吹川沿いを歩いて2Kmちょっと。風は冷たそうですが、いい散歩が出来そうです。
事前に車椅子を載せるよう頼んでいたホテルマイクロバスでの送迎を断り、チェックアウトすると、駅まで歩いてみることにしました。
夜はライトアップされる笛吹川の遊歩道は、朝のまぶしさに包まれ、遠くに見える南アルプスが素敵です。歩道は桜の木が並び、花咲く春が楽しみ。夏は星空イベントもあるようです。
遊歩道の先も道はまあまあで、のんびり歩ける感じ。駅までストレスなく到着し、売店で信玄餅を買うと、名残惜しさに包まれます。移動の負担が軽いのはいいことなのですが、夕方には温泉から「あっさり」自宅に帰れてしまう、ということが、ほんの少し、寂しさを連れてくるのですよね。
ホームの待合室で信玄餅を食べ、特急に乗り込むと、携帯電話のカレンダーを開き、次にいつ来られるかとふたりで相談。また来る日も、そう遠くないようです。

今回泊まったところ
甲州牛の宿 石和常磐ホテル
〒406-0024山梨県笛吹市石和町川中島1607-14
Tel : 055-262-6111  Fax : 055-263-5526
フリーダイヤル 0120-02-6112
【公式HP】https://isawa-tokiwa-hotel.com/

ご参考までに

〇石和温泉旅館協同組合
https://www.isawaonsen.or.jp/

〇石和温泉でのバリアフリー化の取り組み
「いいですね」 医療のプロのサポートを受けながら旅を楽しむ“ユニバーサルツーリズム” 石和温泉でモニターツアー公開 山梨 (TBS NEWS DIG)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/gallery/2229604

〇甲州リハ・サポツアーセンター – (医療法人銀門会 甲州リハビリテーション病院)

甲州リハ・サポツアーセンター