楽しい思い出を重ねて② さくまの家で暮らした礼子さんとの日々

  海やプール、バザーに旅行と、いつも先の予定を楽しみにして重ねていった日々。当初は春までと言われていたのが、夏を過ぎ、秋を迎えることができました。でも年の瀬には次第に眠る時間が長くなっていきました。    

 

 7月には房総半島の海に行きました

 

たくさんのすてきな絵を残してくれました

 

    そんなある日、作業所からボーナスをもらった礼子さんが「ぬいぐるみを買いに行きたい」と言い出しました。最期が近づき体調もよくないため、普通は無理をしないで家にいようと言うかもしれませんが、ヘルパーは覚悟を決めて一緒に出かけました。 いつもはそんなに買わないのに、その日だけは「全部使いたい」と、持っていたお金をすべて使って、ぬいぐるみをたくさん買いました。これが最後の買物かもしれないと、どこかで察していたのでしょうか。 帰り際にはぐったりされ、命がけの買物でしたが、礼子さんの願いを叶えられて悔いはありません

 

その2週間後、礼子さんは大好きなぬいぐるみやジャニーズのポスターに囲まれて、息を引き取りました。お通夜では、ナース佐久間がヘルパーのギターに合わせて山口百恵のコピー「いい死旅立ち 礼子さんバージョン」を歌って見送りました。    

あゝ  日本のどこでも 初めて 会っても   すぐしゃべる いい死 旅立ち   友だちを 探して 出会えて ほんとに ありがとう 笑顔を  道連れに…    

 

礼子さんのお父様からは、今でも時々「寂しい」と電話があります。私たちもまだ気持ちの整理ができていませんが、それぞれ礼子さんとの思い出を噛みしめています。礼子さん、たくさんの笑顔をありがとうございました。