4月18日(土)、グレースケア三鷹オフィスの和室にて、2月に続き参加者8名が集い、猪瀬浩平著『野生のしっそう』(ミシマ社)の感想を話し合いました。
著者の猪瀬浩平氏は大学でも教えている人類学者で『野生のしっそう』は、知的に障害があるとされる実の兄との日々と、障害に向き合ってきた家族のことやコロナ禍を経た社会のあり方などをめぐって書かれた一冊です。
この本で「しっそう」は、失踪でもあり、疾走でもあります。夜中であろうとかまわず家の外へ一人で行ってしまう兄の「しっそう」は、不安を伴う経験でありながら、とてつもない解放感を覚えることでもあると、著者はその様子を振り返ります。
しかし、この本は、様々な話題に触れながら時系列が入り組む複雑な構成をとっています。参加者からは、もっと読みやすく整理できなかったのか?という疑問や、最後まで読んでみてもいまひとつ何が結論かわからなかった、という声も挙がりました。
この本の分かりにくさについては、著者が「時間の直線的な流れに抗う」ように書いたと述べていることを確認しつつ、著者が「しっそう」に感じ取った、常識におさまらない力は、あえて複雑な書き方をしなければ読者に伝えきれないというのが著者の信念だったかもしれないという見方も出ました。
さらに、日ごろの仕事のなかで「為にする介護(For)」ではなく、「共にする介護(With)」を目指したいと考えているが難しい、という問いかけもあがり、この本の「その人の世界とわたしの世界の重なりとずれを理解する」という姿勢は、「共にする」介助や支援を考えるための参考になるかもしれない、という話になりました。
新規参加の方も含め、外部からの参加者3名も迎えての今回の読書会、「ひとりでは読めない本が読めてうれしい」「読みながらあれこれ考える機会が得られて良かった」などの感想もあがりました。
後半の懇親会では、手作りのタケノコご飯もふるまわれ、お酒も入りつつ、介護の現場の話も交えてあれこれ語り合いました。
◆次回のご案内
「本格カレーとビブリオバトルの暑い夕べ」と題して、グレースケアものがたり事業部と多世代の家のとまり木とのコラボで開催します。
ビブリオバトルとは参加者一人一人が自分の推しの本を熱く語り、その中から一番読んでみたい本を決めるという本の紹介ゲームです。
日時 6月20日(土)6:30〜9:00
場所 多世代の家
詳細は後日お知らせします。