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グレースケアソーシャルアクション

これからの在宅ケア ―危機からの希望―

去年4月、訪問介護の基本報酬が引き下げられました。その影響もあり2024年度下半期で全国579もの事業所が閉鎖する事態になっています。
この危機的な状況の中、3月20日(木)に東京地域ケア研究会が「どうする在宅ケア!?訪問介護のいまとこれから」を開催し、声をあげてくださいました。

グレースケアからも代表の柳本が登壇し、ほか”カイゴいるてと”代表の前川武嗣さん、”訪問介護ステーションそるま”の岩槻代表の大西晃志さんら3名からお話を伺いました。
柳本は、全国的に事業所が減っていく中で、事業所が利用者を選ぶようになってきていると指摘し、例えば「利益率の高い身体介護のみ受ける」「加算のつかない吸引には対応しない」「要支援は取らない」などいかに利益を最大化するかに焦点が当てられ、このままでは、ますます事業者本位のケアが進んでいくとの危機感を伝えました。
 いるてと前川さんからは、危機だけでなく現場の愉しさもお伝えしたいと定期巡回の魅力をお話しされました。定期巡回とは24時間365日対応で、月額制という介護業界のサブスクです。訪問時不在のことが多い認知症の方にも、別の時間に変えて訪問出来るなど自由度の高さが魅力です。最後に「誰も計画通りになんて生きていない」という言葉には、はっとさせられました。一介護士としてこの当然の感覚を失わずにいたいと思いました。
 そるまの岩槻の大西さんは、中学生の頃に介護職に就く決意をされ、高校卒業とともに介護の世界へ。27歳の若さで”そるまいわき”を起業された方です。介護への人並外れた情熱と行動力に、同年齢の自分には非常に刺激になりました。「訪問介護は目的ではなく、社会にとっての手段」とも言われ、枠に囚われない広い視野を持たれているのだと感じました。

質疑応答の場面※では、介護保険を利用されているご利用者様から「報酬切り下げや低賃金によって、望む介護が危機にさらされていることを、今利用者こそが訴えるべきだと思い、切羽詰まった気持ちで参加しました。最後まで在宅で暮らしていきたい。私たちはどこにこの想いをとどければ国は動くのでしょう」と、切実な訴えを共有しました。

 訪問介護士の有効求人倍率は15倍を越え(令和5年度)、昨年は過去最大の倒産件数を記録しました。在宅介護は危機に瀕しています。将来、保険料は支払っているのに在宅ケアが受けられない…という事態にならないために、自分たちに何ができるのか、改めて今回の講演会を通じて考えさせられました。

東京地域ケア研究会の皆さま、登壇者の皆さまありがとうございました!

どうなる在宅ケア!?

※ご利用者様90歳代のご主人と二人暮らしのY様。利用者の立場からの貴重な声として、映像の一部も合わせて掲載させていただきます。