想いが引き寄せた、涙と笑顔の結婚式!

K様は半年前に倒れてから、病院でお過ごしです。リハビリを重ねても車いす生活、ずっとやる気を失ったような状態。

ご家族様の「娘の結婚式に、K様に来てもらいたい!」というご要望に応えるべく、ご家族様、病院・挙式会場のホテル・介護タクシー会社の担当者さんとやりとりを重ねていきました。

ご家族様より、当日はK様が参列を嫌がってしまうかもしれない……なんてご連絡が届きます。そして連日雨模様のなか、当日の朝から昼間だけ晴れ間の予報。

式の成功とK様の参列を期待して、ドキドキしながら当日を迎えました。

ヘルパー2名でご挨拶すると、少しびっくりしたお顔。ヘルパーの1人が三女さんに似ていたそうで「本日は四女がご案内します」と伝えると、硬い表情がやわらかくなりました。

介護タクシーで式場へ向かいます。この日のために用意した車いす。慣れるために数日前から使用していただいていたそうです。フットレストから足を下ろしたり車いすを微調整したり、空調にも気を遣いながら、車内を快適に過ごしていただく工夫をします。

車窓から有名な公園や元総理の邸宅を見つけて話題にしながら、まっすぐ進んでいきます。いつもは混んでいる道ですが、この日はスムーズに進むことができました。

ホテルでは、K様専用の控室と介護用ベッドをご用意いただいていました。すぐに式へ向かう準備をして、チャペルへ向かいます。

チャペルの前には奥様と娘様がいらっしゃいました。ウエディングドレス姿の娘様に涙がこぼれるK様。

ヘルパーがチャペルまで車椅子を押し、奥様へバトンタッチ。K様の手に娘様が手を添えて、一緒に神父様の所まで歩かれます。

そしてご家族様と共に、壇上のすぐそばの特等席から見守りました。時折奥様と顔を見合わせながら、顔を赤くして涙を流していらっしゃいました。

挙式を終えると一番最後にチャペルをでて、フラワーシャワーのために庭園に移動します。

まるで皆の祈りが届いたかのように晴れ渡った空の下、新郎新婦様が階段を降りていきます。参列した方に合わせて、K様も精一杯に色とりどりの花びらを撒いていらっしゃいました。

ブーケトスや新郎新婦様とご級友の楽しげな様子を見守ったり、ご親戚と久しぶりに再会して力強い握手を交わし合ったり。

写真撮影にも絶好の天気。皆さんの笑顔が躍ります。撮影中、1人ピースサインを掲げるK様に、参列した方々が和む場面もありました。

K様も堂々として嬉しそう。心の底から喜ばれているのが伝わってきました。

いざ帰ろう、と控室へ戻る途中、娘様に引き止められます。なんとK様へのサプライズ。感謝の言葉と共に手紙を手渡されます。お手紙を大切に胸にしまう姿には、ヘルパーも涙が込み上げました。

当日は式だけのご出席となりました。それでも帰りの車の中では、「よかった、よかった」と何度も口にしていらっしゃいました。写真をじっくりと眺めて結婚式の様子を振り返りましたかつて奥様と同じホテルのアフタヌーンティーに行ったことがあるというお話しを聞くことができました。

病院に戻ってすぐのこと、ご本人から「テレビカードがほしい」とご希望があったとのことでした。これまで無気力なご様子で「がんばれ」なんて言葉をかけることは到底できなかったのに……結婚式への参列を通して少しでも意欲が戻ったのではないか、とご家族から喜びの声を聞きました。

ご家族や関係各所の皆様、そしてK様と共に叶えた今回のおでかけ。

グレースケアではこれからも、ご病気や入院であきらめることなく、おでかけや、やりたいことを叶えるためのお手伝いをしていきます。